「「具体⇆抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問」を読んだ

「「具体⇆抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問」を読んだ

  • 目次

    話題になったので読みました。

    所感

    • 抽象度が上がるほど理解できる人が少なくなる。

      • 具体的にすればするほど、理解できる人の数が増える。そのため、多数派の人を相手にして「数を稼ぐ」必要がある政治や「マス」メディア、ページビューを稼ぐ必要がネット広告や記事などは、「具体的でわかりやすく」することが求められる。
    • 抽象化とは上位の視点を持つこと(全体を俯瞰すること)

      • 抽象化するとは事象の関係性を見ることであり、事象そのものから離れてそれらを客観視する必要がある。抽象度があがるとは、視点が上がるというイメージになる。
    • 具体化とは違いを明確にすること(解釈の自由度を下げること)

      • 解釈の自由度を下げることという言い方は納得ができた。目標を立てるときにSMART1な目標とよく言うけど、解釈の自由度を下げなさいという前提条件のもとでSMARTな目標と言われたほうがわかりやすい気がした。
    • 問題発見と問題解決

      • 抽象化を行う問題発見(Why)と具体化を行う問題解決(How)によってビジネスは進んでいく
        • 新しい世代の製品や組織を生み出す際に必要なのは、「そもそもなぜそれが必要なのか?」という抽象度を上げる言葉が重要
        • 一度定義された問題を具体的な製品やサービスに落とし込んでいくときにはHowを問うことによる具体化が重要
    • 折り曲げの法則

      • 一般に対極だと思われることが実は紙一重の関係であることを示唆する法則
      • 長所は短所にもなりうるし、短所は長所にもなりうる。短所はなるべく矯正することで長所側の割合を増やして「トータルでプラスにする」という作戦がとられることがある。この場合、この法則によると「個性がなくなる」状態に陥る可能性がある。つまり、短所を矯正するのではなく、むしろそれを生かせるような状況に自分を置くことで長所に変えてしまう作戦も有効かもしれない。
    • ビジネスの拡大

      • ビジネスは規模の拡大に伴って常に質と量のどちらを取るかというトレードオフに迫られる。
        例えば、ラーメン屋を拡大する場合を考える。
        最初は店主自ら作成するため、こだわりの一杯を作ることができる(質:高(特定の人しか作れない))
        お店を拡大するにあたり、弟子に作り方を教えたりのれん分けをして拡大していく。
        店主が直接作るわけではないため、品質にばらつきが存在する(質:中、量:中)
        さらにお店を拡大する場合、フランチャイズが考えられる。スープや麺を標準化し誰でもできるような一杯を作成する(質:小、量:大)。
      • こういった「構造」がわかるとソフトウェアなどの製品を開発する上でも同じであることがわかる。
        だんだん規模が大きくなってくると既存の人だけでは回らず、仕組みを作りだし、外部の力を借りるフェーズに入る。
        拡大フェーズの例
        1. まずは自分でやってみる
        2. 拡大するために部下にやらせてみる
        3. 外注化するためにマニュアル化、システム化する
    • その他

      • いま対象にしている領域は川上(抽象)側なのか川下側なのかを判断すれば、適切な議論・判断できることが多い。
      • デジタル時代になって、抽象度の高い戦略オプションを考えることが以前にもまして重要になってきた。デジタル化によって、ビジネスの差別化ポイントの抽象度が(例えば、「データの行き来」という点で)上がってきたためこのように言える。
        • いろんなデータが自由に行き来できるようになって、自由度が上がった。そのため、抽象度があがったと解釈するべきなのかもしれない。
      • 抽象の世界は見える人にしか見えない。
        • 具体の世界は五感で感じられる分、見えない人はほとんどいない。そのため、自分が見えている抽象の世界のものをほかの人も同じように見えていると考えてしまうことはコミュニケーション上の大きな誤解の元になる。具体の世界→抽象の世界は見えないが、その逆は見ることができる。
      • 言葉の定義を明確化する
        • 方法
        1. 「AはXXだが、BはXXでない」のセットを定義する
        2. 「非なる」の部分はどの軸によってもたらせれるのかを、セットを眺めて明確にする
      • アナロジーとは
        • 似ているものから新しいアイデアを得ること。具体的な類似点ではなく、抽象度の高い類似点であることがアナロジーの特徴
      • 人間の心理として、「絶対値より変化や相対値に敏感である」
        • 一見さんが多いビジネスでは実際の機能より外見が重要
        • リピータの多いビジネスでは外見より中身

    終わりに2

    自分の視野を広げる一冊だったかなと思いました。
    抽象度の上げ下げについて、言語化されており私の理解を深められた気がしました。
    読んでいて、ところどころしっくりくる部分がありました。
    しっくりこなかった部分もあるので、具体⇆抽象の変換は苦手なのかなと思いました。
    まだまだ私は下流(具体派)の人間なのかなと思いました。


    1. Specific(具体的、Measurable(測定可能、Achievable(達成可能、Relevant(関連した、 Time-bound(期限がある。の頭文字をとったものです ↩︎

    2. タイトルに29問とありますが、出てくる演習問題に番号が振ってなかったので本当に29問もあったのかよくわからなかったです。 ↩︎

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